00602-060123 写真は逆光
今日から春学期。久しぶりの大学です。
スタンフォード・ロースクールは,9月から12月が4ヶ月間の秋学期,1月末から5月までが4ヶ月間の春学期。1月1ヶ月間だけのクラスなどもありますが,だいたいこの8,9ヶ月が学期です。日本とずれているものの,トータルの長さは同じですね。
さて,Pina Hiranoさんその他からいただいているご質問にふたつお答えします。そのほかにもご質問をいただいているのですが,おいおいお答えしますね。 【1秒でピタッ!!】
shiologyでたくさん紹介している,シャッタースピード1秒の手持ち撮影写真。そのコツを教えて欲しいとのご意見をたくさんいただいております。ここにまとめておきます。ただし厳密に言うと,全くブレていないわけではないです。シャッタースピード1秒で撮影したshioの写真を等倍などに拡大してご覧になれば,若干ブレているのがおわかりいただけると思います。でも,一般には手持ち撮影の1秒では全く絵にならない,と考えられていたところ,撮れないことはない,という実践でございます。また「1秒でピタッ!!」ができるようになれば,1/2秒,1/4秒,1/8秒がすごく速いシャッタースピードに感じられるようになります。
その0──ネックストラップを使います。ネックストラップの利用については下記に書いております。
その1──掌でカメラを前に押し出すようにして,ストラップをピーンと張る。
その2──よく「脇をしめて」と言われますが,1secにもなると,脇をしめていると心臓の鼓動が腕に伝わってしまい,かえってブレます。だから脇は胸から浮かしています。
その3──息を吐ききったところで,静かにシャッターを切る。
その4──撮影中は息を完全に止めてます。
以上です。
http://www.flickr.com/photos/shio/61385047/ http://static.flickr.com/32/61385047_8cb51a5110.jpg
パリ,セーヌ河畔。GR Digital・無修正。シャッタースピード1秒・ISO64。Handheld(手持ち)。
その5──さらに,もしブレを押さえることができそうなものが周りにあれば何でも利用します。http://www.flickr.com/photos/shio/61385427/ http://static.flickr.com/27/61385427_41b59c7d51.jpg
パリ,セーヌ河畔・GR Digital・無修正。シャッタースピード1秒・ISO64。セーヌ川から上がってくる階段の手すりにカメラを押し付けながら撮影しています。
1秒写真のコツとは別に,暗いところで撮影する際,ISO感度を上げてシャッタースピードを速くすることによってブレを防ぐことももちろんできます。ISO感度を上げても描写が自然なところがGR Digitalのいいところです。
http://www.flickr.com/photos/shio/61384650/ http://static.flickr.com/27/61384650_8c9be7075d.jpg
GR Digital・無修正。シャッタースピード1/6秒・ISO400。Handheld(手持ち)。
http://www.flickr.com/photos/shio/61384779/ http://static.flickr.com/31/61384779_fe14864aed.jpg
GR Digital・無修正。1/4秒・ISO200。Handheld(手持ち)。
【逆光で撮ろう!!】
よく「逆光だから向きを変えよう」とか「逆光では写真は撮れない」ということばを耳にしますが,そんなことはないです。それどころか,逆光で撮った写真はとてもきれい。
逆光できれいに撮影する方法は3つあります。以下簡単な順にご紹介しましょう。
その1──フラッシュをたく。強制的にフラッシュをたくモードにして撮影します。そうするとほぼ確実に,撮影できます。フラッシュをたいてしまうとその場の雰囲気はあまり出ませんが,背景の色を活かして撮影したときにはとても有効です。これがサンプル。
http://www.flickr.com/photos/shio/82907730/ http://static.flickr.com/38/82907730_215877c467.jpg
GR Digital・無修正。
その2──露出(明るさ)を被写体に合わせる。実際にはコンパクトカメラでは露出をコントロールするのは難しい(GR Digitalのようなカメラは別ですが)ので,プラス2段程,露出補正をします。露出補正の幅はカメラ(の露出計)によって異なるので,一概にどのくらい,とは言えないのですが,ともかくプラス1段か2段,露出補正すれば,被写体が暗くならず,背景が明るいきれいな写真が撮れます。
ただし欠点もあります。背景が明るく(=白く)なるため,夕焼けをバックに撮影するときのように背景の色が重要な場合は使わないほうがいいです。たとえばこれ。露出を直接ふたりに合わせています(露出補正はしていません)。シャッタースピード1/20秒ですから結構暗い状況ですが,明るく撮れています。その代わり,背景は「夕焼け」ではなくなってしまっています。
http://www.flickr.com/photos/shio/82907555/ http://static.flickr.com/36/82907555_afc7b5b828.jpg
GR Digital・無修正。
一方これはちょっと極端な逆光の例。asamiに露出を合わせて撮影しています。太陽が画面内に入っている完全逆光写真ですが,彼女は明るく撮れています。 http://www.flickr.com/photos/shio/84741578/ http://static.flickr.com/37/84741578_38f43021fe.jpg
GR Digital・無修正。
その3──レフ版(反射板)で顔を明るく照らす。その1のフラッシュと同じ考え方で,被写体に光を補うことによって暗くなってしまうことを防ぐのですが,フラッシュのように真正面から強い光を当てるのではなく,斜めから柔らかい光を当てます。すると自然な写真が撮れます。欠点は,基本的に助手が必要なこと。撮影者一人ではちょっとむずかしいです。でも周囲の状況によっては,レフ版と同じ効果を得られる場合もあります。そのサンプルがこれ。
http://www.flickr.com/photos/shio/84721700/ http://static.flickr.com/38/84721700_4f11312ffb.jpg
EOS 20D EF24mm F1.4。無修正。
http://www.flickr.com/photos/shio/90367111/ http://static.flickr.com/35/90367111_b461e47d1d.jpg
EOS 20D EF24mm F1.4。無修正。
どちらも太陽が被写体のうしろにある逆光写真です(太陽は画面内にはギリギリ入っていませんが,後ろから光が当たっている写真を総じて逆光と呼びます)。1枚目は特に,asamiの髪が輝いています。これが逆光写真の美しさ。そしてどちらの写真も太陽は後ろにあるにもかかわらず,前からの光が顔に当たっています(2枚目の方がわかりやすいと思います)。これは,この先にあるアップルストアの壁に太陽が反射して,その光が彼女に当たっているのです。歩きながらそのような状況を把握して,うまくその場の光を使えば,きれいな逆光写真が撮れるのです。 写真は逆光。
もしいままで「逆光だから撮れない」と思っていたら,ぜひ逆光で撮ってみてください。ちょっと上記のような工夫が必要ですが,うまくいけばとってもきれいな写真が撮れますよ。まずはフラッシュをたくことから始めてみるといいと思います。